やなりん魂・その8「山を降りた木こり」

2023.10.31

木こりの仕事場は、山の中だけではありません。
実は、街の中にも木こりの仕事場があります。
例えば、神社やお寺、公園、街路樹、民家の庭などにある
高さ数十mになる大木を伐るのも、木こりの仕事です。

木を伐ると言っても、山と街で伐り方は異なります。
建物や民家がある街の中での伐採は、山の中で伐るようにはいきません。
山では、木の根元から伐ってその場で倒すことができますが、
人が暮らす街の中では、樹木の周りに建物や道路などがあって、
10mを超える大きな木を倒せる場所はほとんどありません。

そこで木こりは、木を根元から伐らずに、木の上部から伐っていきます。
街中ならではこの特殊な伐採方法を「トクバツ=特殊伐採」と言います。

「トクバツ」は、まず木の観察から始まります。
木の下から木の状態をじっくり確認します。
伐る手順、伐る箇所、伐り方、枝を下ろす位置、仕上げの掃除までを見極めたら、
木登りの準備です。

木登りには、ロープを使って木を登る「ツリークライミング」の技術を使います。
専用のロープを木の枝に掛け、ハーネスと呼ばれる安全帯に伐採道具類を身につけ、安全保護具を使いながら、木を傷つけないように登っていきます。

木の高さは、低くて数m、高ければ30mを超えることもあります。
ツリークライミングは登ることが目的ですが、
木こりの仕事は登ってからが本番です。
ロープで宙吊りになった状態で、チェーンソーなど使って、
枝を落とし、幹を伐り詰め、木を根元まで伐っていきます。
伐った枝や幹は、そのまま下に落とさず、
ロープで吊って慎重に安全な場所へ下ろすこともあります。
その作業すべてが、高所での空中作業です。

意外と街中で「トクバツ」を目にする機会はあると思いますので、
遭遇した時はその木こりの仕事ぶりをぜひ見てみてください。
木こりのイメージが変わるかもしれませんが、
それが山を降りた街の木こりの姿なのです。

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