やなりん魂・その7「木の命の値段」

2023.10.13

1本、約2千円。
松本を代表するアカマツの
直径20㎝、長さ4m、材積0.16㎥の丸太の値段です。

その太さになるまでの樹齢は約40〜50年。
半世紀近く生きてきた命の値段としては、
伐った木に申し訳ないと木こりは思うのですが、
需要に応じて値が決まるのが市場です。

戦後から始まった建材需要とともに
右肩上がりだった国産木材の値段は、
昭和50年代半ばにピークを迎え、
そこから約40年間値下がり続けてきました。

原因は、建材需要の低下ではなく、
安価な外国産の木材が大量に輸入されたことでした。
今では日本の住宅に使われている木材の7割が
輸入材といわれています。

そこで、やなりんに何ができるかですが、
値段では勝負できませんし、するつもりもありません。
木こりにできるのは、
松本の気候風土が育んだ松本の木の素晴らしさを、
地元の人たち、松本に関心ある人たちにもっと伝えて、
地元の木に愛着を持ってもらうことで、
いつか生活の中に取り入れてもらえるよう、
メッセージを送り続けることです。

伐り出した木を自分たちで工芸品に加工したり、
里山の楽しさを体験するイベントを開いたり、
山の中で木と過ごすキャンプ場の運営・管理を行ったり、
林業会社の範囲を超えたいろいろな事業をやなりんが始めたのも、
松本の山と木の魅力に出会ってもらうための、メッセージ。

これからの木こりは、
木を伐り、自ら加工し、その魅力を発信する。
そうして、木の価値を高め、林業の可能性を広げていく。
それが、やなりんの目指す新しい林業なのです。

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