山にはふたつの山があります。
明るい山と暗い山。
明るい山は、木こりの手が入った山。
暗い山は、木こりの手が入っていない山。
木こりが鬱蒼とした暗い山の木を伐り、
立木の密度を調整する間伐作業を行うことで、
林の中に陽の光が差し込む明るい山になります。
その明るい山にも、ふたつの山があります。
ひとつは、すっきりと整備されているがどこか殺風景な山。
もうひとつは、色々な木や動植物で賑わう居心地の良い山。
やなりんの目指す山づくりは、ふたつ目の山。
その違いは、木を伐る間伐の際に何を一番大事にするかで生まれます。
間伐は、その字が表す様に、
木を伐ることで木と木のあいだ(間)を作る作業です。
どの木を伐って、どの木を残すかは、木こりの判断次第。
一定間隔で機械的に伐っていく木こりもいれば、
林全体のバランスを見ながら伐る木を一本一本選ぶ木こりもいる。
機械的な伐り方が重視するのは、短い時間でたくさん伐ること。
高い木も中位の木も低い木も草木も、
伐る場所にあるものが伐られた後の林の中はすっきりしていても、
ポツンと残された木々たちはどこか寂しげ。
やなりんが、一本ずつ選ぶ伐り方で大事にするのは、
残した木が成長した山の未来の姿です。
木を伐るのは、木のためだけではなくて、
さまざまな植物や動物、昆虫まで、その林、山が育むすべての命を生かすため。
だから、やなりんは時間をかけて残す木、伐る木を選び、
伐る際は作業する周りの樹木、草木をできるだけ傷つけない様に気を配りながら、
多様な命が輝く明るい山づくりに取り組んでいます。
森林が面積の約8割を占める松本は、
日本有数の森林県である長野県の中でも一番の森の国、山の国。
明るい山がひとつ増えると、愛する松本の輝きも増していく。
そんな山の姿に心が湧き立つ、やなりんなのです。