松の樹勢回復について

2015.06.08

対象の松

先日、とあるところで樹木医を対象とした松の樹勢回復の研修が行われました。

樹木も人間と同様で、元気がなくなってくると病気にかかりやすくなる、またその病気が悪化、進行し易くなるという事があります。
今回対象になった松も樹勢が弱ったために葉ふるい病にかかっていました。

研修の内容は菌根菌資材を使用した松の樹勢回復処置でした。
菌根菌というのは、植物の細根につながり、共生する土壌微生物です。
植物に共生すると、土壌中に菌糸のネットワークを作り、水分や養分を
集めて植物の根に与えたりします。
そのために植物の養水分吸収性や耐乾燥性が高まり、植物の耐病性や生育を促進させるというものです。
その菌根菌を樹木と共生させる上で最適な資材である炭に植えつけたものが菌根菌資材です。
炭が植物によい理由としては、通気性と保水性の確保できそのことが根の発育に良いことや菌根形成の場となること、ミネラルの植物への供給があげられます。

上の写真の黒いものが炭に植えつけられた菌根菌資材です。
その他の土壌改良剤(赤玉、桐生砂、軽石、炭)などと組合わせて対象となる松の根に配置します。

菌根菌資材

適度な根を選び出し施工します。
松が弱っていることもあって健全な根や発根の期待できる根の本数はかなり少ないですが丁寧に掘り出し作業を遂行しました。

研修を終えての感想としては、松の木の根を観察し生育環境を整えてから松の生態に沿った樹勢回復の施工が素晴らしと思いました。
また、化学肥料などとは違い樹体を根本から健全にできることも良いと思います。そして樹体注入剤などとは違い樹体に傷をつけないことも大事なことだと思いました。

松本でもいよいよ松くい虫の被害が激甚化しそうな気配です。
菌根菌施業は山にある多数の松を救うことは難しいですが、お庭にある単木の松なら救うことができます。

大切な松のこと、思い出のある松のことなどぜひご相談ください。

わかばやし

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